杏吧原创(本社:東京都港区、社長:国谷一彦)は、株式会社川金コアテック(本社:埼玉県川口市、代表取締役社長:鈴木信吉)および平和発條株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:春木博之)と共同で、南海トラフ地震等の巨大地震時に免震構造の建筑物の安全性をより確実なものとするため、フェイルセーフ制動装置の性能を実証しました。
写真1:フェイルセーフ制动装置の性能実証実験の様子
1.开発の背景
南海トラフ地震等の巨大地震が発生すると免震建筑物は、長時間続く長周期地震動により、免震支承や減衰ダンパーが大変形を繰り返すと予想されます。それに伴い、これらのエネルギー吸収性能が低下するため、免震支承の変形が設計で想定した範囲を超え、上部構造が免震層周囲の擁壁に衝突する等のリスクが高まります。
2017年4月以降、関東、静岡、中京、および大阪地域で新築する免震建筑物は、国土交通省の技术的助言(注1)により、南海トラフ沿いで発生するとされている巨大地震の影响を考虑して安全性の検証を行うことが求められています。
巨大地震に対応する技术としては以下の方法等が考えられます。
- 拥壁と上部构造の间隔(免震クリアランス)を拡大
- 减衰ダンパーを多く设置して、上部构造の水平変位を抑制
前者は建設コストの増加や建筑容積の低下につながり、後者は上部構造の応答加速度が増加するため、建筑基準法等で考慮すべき地震(設計範囲)における免震性能の低下をまねきます。これらの問題を解決するため、フェイルセーフ制動装置の開発に取り組んでいます(図1)。
図1: 巨大地震を考虑しない免震构造と免震フェイルセーフ构造
2.フェイルセーフ制动装置の概要
フェイルセーフ制动装置(図2)は设计范囲を超える巨大地震が生じると、过大となった上部构造の水平変位にブレーキをかける(制动する)革新的な装置で、以下の特徴を有しています。
- 免震クリアランスを拡大することなく、巨大地震対策が可能です。
- 设计で考虑している地震动の免震性能に影响しません。
- 制动力には、低降伏点钢の塑性変形(注2)による力を利用しており、高いエネルギー吸収能力を有します。これにより、上部构造の损伤を最小限に留めます。
- シンプルな构造を採用しているため、长期间の使用に耐えることができます。
- 免震用オイルダンパーと取付け部の形状が同じなので、施工が容易です。
図2:フェイルセーフ制动装置の概要
3.実大免震试験机E-Isolationにて大地震时の性能を実証
2024年2月には、一般财団法人免震研究推进机构が保有する実大免震试験机E-Isolationを用いて、フェイルセーフ制动装置の性能実証実験を行いました(写真1)。E-Isolationは、実际の地震で作用する荷重や速度で免震支承や减衰ダンパーの试験が可能な国内初の施设として2023年6月に运用を开始し、民间の开発利用としては今回が初の取り组みとなります。
実証実験により、想定した免震建筑物の免震クリアランス60cmに対し、设计范囲(无感区间)の水平変位±50cmでは制动力が生じることなく、上部构造の免震性能に影响しないことを确认しました。一方、巨大地震では约10㎝の制动区间内で上部构造の拥壁衝突を回避し、その际、高いエネルギー吸収能力を伴う约1000kNの制动力で、速やかに制动することを実証しました(図3)
今後は新築および既設の免震建筑物に本装置の幅広い適用を図り、免震建筑物の巨大地震に対する安心、安全の向上に取り組んでいきます。
図3:フェイルセーフ制动装置の復元力特性
-
国土交通省の技术的助言
平成28年6月24日 国住指第1111号
「超高層建筑物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震対策について」 -
低降伏点钢の塑性変形
塑性変形とは钢材に力を加えて変形させた际、力を除いても元の长さに戻らなくなる変形のことで、低降伏点钢は塑性変形性能に特に优れた材料です。